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Saturday, February 5, 2022

「まったく同じタイプのメンヘラはいない」メンバー全員が“メンヘラ”の会社が話し合って気づいたこと - ASCII.jp

週替わりギークス 第230回

2022年02月05日 17時00分更新

文● 高桑蘭佳(らんらん) 編集● ASCII

 メンヘラテクノロジーの高桑蘭佳です。

 経営学者のピーター・F・ドラッカーが提唱した企業の理念や方針を構成する「ミッション(Mission)」「ビジョン(Vision)」「バリュー(Value)」というフレームワークがあります。

 ミッションは「わが社が社会で実現したいこと」、ビジョンは「わが社のミッションが実現した時の状態」、バリューは「大切にする価値観や行動指針」と定義されています(※1)。

 現在、メンヘラテクノロジーの夢として「幸せに病める世界をつくる」ことを掲げています。強いて当てはめるならミッションになるんだろうか……?という程度で捉えていました。一緒に働いてくれるメンバーはこの夢に強く共感してくれている一方、抽象度が高すぎることもあり、解釈が分かれてしまうこともありました。

 そこで、2021年11月頃から社内でチームを作り、UI/UXデザイナーのmakiちゃんを中心にビジョンづくりをしました。

makiちゃんプロフィール
 千葉工業大学先進工学部知能メディア工学科4年生。メンヘラテクノロジーではUI/UXデザインを担当。

 単純にビジョンとして言葉を定めるだけではなく、2泊3日の合宿をして、いまのメンヘラテクノロジーを取り巻く状況や将来的な事業展開についてチームメンバーで考えました。その結果、普段私が一人では気づけないことが見つけられたり、改めて「メンヘラ」について深く考えたりできました。

 今回は、ビジョンづくりでどんなことに取り組んだのかを紹介できればと思います。

(※1)山下淳一郎『ドラッカー5つの質問』より引用

ビジョンづくりの流れ

  今回ビジョンづくりをして、社内外に浸透させるまでを【1】事前準備フェーズ【2】ビジョン創造フェーズ【3】浸透フェーズの3つに分けました。

 【1】を2021年11月頃から実施し、【2】の途中までを2021年12月末の合宿で実施しました。【2】の成果を少し寝かせた上で、今後【3】を実施していく予定です。

 各フェーズでは以下のようなことを実施しました。

【1】事前準備フェーズ

 事前準備フェーズでの取り組みは以下のとおりです。

(1)目的の再確認
 まずは今回のビジョンづくりの目的を再確認するために、makiちゃんが私にインタビューすることで、上位下位関係を分析してくれました。

 そこから、仕事の判断基準となるようなビジョンをつくることを目的として定めました。

(2)「ビジョン」の定義
 次に、ビジョンといっても会社によってそれぞれ定義は異なるので、私たちがつくるビジョンの定義を定めました。ビジョンづくりをするメンバーで他社のビジョンを調査し、それぞれが「いいな」と思ったものを出し合い、その特徴を探りました。

 以下のようなものが特徴として挙がりました。
・行動の判断基準になる
・思想が好き
・自分ごとに感じられる
・ポエムみたいな、熱い思いを感じる
・会社のイメージがわかる
・公共的すぎない
・日本語
・わかりやすくて、具体的

 ここから、「私たちの思想を含み、私たちが強く望み目指したいと思える未来像」をビジョンの定義として取り組んでいくことが決まりました。

(3)リサーチ
 ビジョン創造フェーズに向けて、以下のようなリサーチを分担して取り組みました。
・経営メンバーへのインタビュー
・メンヘラテクノロジーのメンバーへのインタビュー
・ユーザーへのインタビュー
・SWOT分析(※2)
・PEST分析(※3)

 これらのリサーチ結果を持ち寄り、メンヘラテクノロジーの現在の状況についての認識をメンバー間で合わせる作業に移りました。

(※2)自社のStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)を洗い出し、外部環境と内部環境の両方を正しく把握・分析するフレームワーク

(※3)Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つの観点からマクロ環境(外部環境)を分析するフレームワーク

【2】ビジョン創造フェーズ

 合宿で取り組んだビジョン創造フェーズの流れは以下のとおりです。

(1)メンヘラについて考える
 メンバー自身の「病みエピソード」と「理想のすがた」について共有するところから始め、各自が一般化したメンヘラの姿について考えました。

 私は、Instagramに中学校の部活のメンバーの結婚式の写真が挙がっており、自分以外全員が呼ばれていることを知り、友達が少ない自分がとても悲しくなった……という病みエピソードを共有しました。

 部活メンバーの多くが地元(石川県)に留まっていたのに対して、私は上京していたこともあり、関係の維持が難しかったことや、自分から積極的に連絡を取らなかったことを反省点として振り返りました。その上で、理想のすがたとして「友人関係のメンテナンス」をしっかりしている状態を挙げました。

(2)サービスについて考える
 次に、メンヘラテクノロジーについて理解を深めるため、私たちのサービス「メンヘラせんぱい」について担当メンバーが実施したSWOT分析を参考に、改めてメンバー全員で分析しました。

(3)ありたい姿のアイディア出し&整理
 事前準備で取り組んだリサーチやビジョン創造フェーズの(1)(2)を踏まえて、「私たちが心から強く望むこと」を付箋に書き出し、アイデアを発散させました。

 その後、似たような言葉をグルーピングし、

 各グループに名前をつけました。グループ同士の関係性についても矢印で明らかにしました。

 その上で、さらに気になる言葉をピックアップしました。

(4)なぜ私たちはそれをしたいのか?を考える
 (3)を踏まえて、私たちがしたいことの起点となるキーセンテンスとして「コミュニケーションをサポートする」を選びました。それに対して、「なぜ私たちはそれをしたいのか?」という問いを繰り返すことで、背景や根っこにあるものを探りました。

 同じく「コミュニケーションをサポートする」を起点とし、次は「どうやってそれをするのか?」という問いを繰り返しました(起点の言葉をちょっと変えて、「コミュニケーションの課題について一緒に悩む」に変更した)。

 ここからビジョンの種になりそうな言葉を探りました。

(5)最終キーワードの抽出
 ここまでで出てきたキーワードや議論を踏まえて、ビジョンを言語化するための最終的なキーワードを抽出しました。

 合宿で取り組んだのはここまでです。ビジョン創造フェーズは3日間という短期間で一気にしたため、一度出てきたキーワードを寝かせて、最終的なビジョンを言語化する予定です。

まとめ

 今回のビジョンづくりの方法や進め方を検討してくれたデザイナーのmakiちゃんにコメントをもらいました。

 ビジョンづくりは、ビジョンそのものより作る過程がとても大事だと思っています。そのためには、メンバーに協力してもらう必要があるのですが、ビジョンという概念は曖昧なので、それをどうみんなに伝えるのかをとても意識しました。ビジョンがあるとどんなメリットがあるかをしっかり伝えることで、みんなのモチベーションをあげられるよう、事前準備なども丁寧にしました。

 また、一般的にビジョンづくりは、経営陣とコンサルタントでするようなケースが多いと思います。しかし、今回経営陣のみではなく、フラットにいろんなメンバーに参加してもらえたのが良かったと思います。それもあって、メンバーの会社への愛が深まった感じがしてうれしかったです。

 冒頭にも書きましたが、今回のビジョンづくりの過程で、私自身新たな発見がたくさんありました。メンヘラテクノロジーのメンバーはそれぞれが自分自身のことを「メンヘラ」であると自覚していますが、共通する部分と異なる部分があり、1人としてまったく同じタイプの「メンヘラ」はいませんでした。

 それぞれの差分について議論することで、私たちが向き合いたいと思っている課題の解像度が上がりました。今後、ビジョンづくりを進めながらも、事業をどのように展開していきたいかも議論していきたいと思いました。

 今後のビジョンづくりについては来月以降の記事で紹介できればと思います。

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