体調を壊しやすい季節。温かいスープを一品、作ってみませんか(出所:『しみこむスープ』)
寒い季節は、食卓に温かいスープがあるだけで幸せな気持ちになるものです。
料理研究家・角田真秀さんは著書『しみこむスープ』で、インスタントのもとを使わず、食材のうまみを生かしてつくるレシピを提案。だしをとる手間もかけず「がんばらなくてもつくれる」スープをおすすめしています。
同書から一部を抜粋、編集し、「しみこむスープ」のつくり方をご紹介します。
料理はマイペースが楽しい
今のように料理の仕事をするようになってから、ふだん料理をする人としない人がいることを知る機会が増えました。
私自身は家にいる時間が長いので自炊をするほうですが、料理をつくる・つくらないが優劣につながることはないと思って暮らしています。
料理研究家の角田真秀さん(出所:『しみこむスープ』)
暮らしのなかの料理は、その人の生活に合ったものであれば充分。外食しても惣菜を買って食べても、それはそれでよいと考えています。
ただ、そういった生活に少し飽きて料理に興味がわいたかたにこれなら私にもつくれるかもしれないというキッカケになればと思い、日々いろんなことにがんばっている人の背中をそっと押せるレシピをご紹介したいと思っています。
おかずを何品かつくって食卓を整えることはたいへんですが、一日にたったひとつ、自分のために一杯の汁ものをつくれたら、それで大丈夫。
料理はがんばらず、マイペースでつくるのがいちばん楽しい。インスタントのスープのもとを使わず、だしをとる手間もなく、野菜や肉や魚介など食材がもつ旨みを生かすと、おいしいスープになります。
からだに、心にしみこむようなしみじみおいしい健やかな味わいが生まれます。一日に一度。一日に一杯。「これさえあれば充分だ」と思えるスープに出会っていただけたなら、これほどうれしいことはありません。
おいしいスープをつくるには
ご紹介するレシピでは、インスタントのスープのもとは使いません。あらかじめ、だしをとる手間もかけません。
使う調味料は塩やしょうゆなど最低限にとどめ、食材がもともともつ、あるいは調理の過程で生まれる「旨み」をスープのなかにとじ込める。それだけで、おいしくて健やかなスープになるのです。
そのためには、たとえば以下のようなポイントがあります。
おいしくて健やかなスープにする秘訣(出所:『しみこむスープ』)
どの方法をとるかはスープによって変わりますが、共通するのは、がんばらなくてもつくれること。きっと「こんなにかんたんに、おいしいスープができるなんて」と驚くはずです。
こうしたおいしさのポイントが特によくわかるスープを「きほんのスープ」として2つ紹介します。
【きほんのスープ1】にんじんとセロリのスープ
野菜の旨みとハーブティーで奥行きある味わいを生み出します(出所:『しみこむスープ)』
具材は2つの野菜だけという、潔いスープ。にんじんの甘みが口のなかにじわりと広がります。
おいしさのポイントの1つめは、野菜の旨み。野菜を塩と炒めるうちに生まれる旨みを生かします。
2つめは、セロリの葉。捨ててしまいがちな部分ですが、いっしょに煮ることでスープに爽やかな風味が加わります。
3つめは、ハーブティー。水だけでも充分おいしいですが、半量をハーブティーにすることで控えめながらもさらに奥行きのある味わいが生まれます。
野菜とハーブティーでシンプル&奥行きを
「にんじんとセロリのスープ」の材料と作り方
にんじんとセロリのスープ(出所:『しみこむスープ』)
【材料 (2~3人分)】
にんじん… 1/2本(約100ℊ)
セロリ… 1本
しょうが(すりおろし)… 1/4かけ
オリーブオイル… 大さじ1
塩… 小さじ1
ハーブティーのティーバッグ(ジンジャー&レモングラスティー)… 1個
*ジンジャー&レモングラスティーを使いましたが、ジンジャー系ならなんでもOK。水だけでも充分おいしいですが、入れるとさらにおいしくなります。ハーブティーがないときは、湯200㎖を入れてください。
【作り方】
1:湯200㎖にティーバッグを入れ、表示の分数おいてハーブティーをつくる。にんじんは皮をむいて小さめの乱切りにする。セロリは葉と茎に切り分け、茎は筋をとって薄切りにする。葉は適当な大きさにちぎる。
2:鍋にオリーブオイルを中火で熱し、にんじんとセロリの茎を入れて分量の塩のうち少々を振り、2~3分炒める。セロリの葉と水300㎖を加える。
3:沸騰したら弱めの中火にして、ハーブティーを加える。5分煮てセロリの葉をとり出し、残りの塩、しょうがを加えてさっと煮る。
【きほんのスープ2】即席塩豚と切り干し大根のスープ
「即席」の塩豚でスープに旨みを(出所:『しみこむスープ』)
主役は豚肉と切り干し大根。あっさりした、でも深い味わいのスープです。
おいしさのポイントの1つめは、塩豚。薄切り肉に塩をなじませる「即席」バージョンですが、スープにしっかり旨みがとけ出します。
酒ももみこむことで、くさみがとれるだけでなく旨みも増すように思います。
ポイントの2つめは、切り干し大根のもどし汁。旨みがぎゅっと詰まっているので、捨てるなんてもったいない。ただ、たくさん使うとえぐみが出るので、加えるのは少量にとどめます。
豚肉と切り干し大根の旨みでおいしく
「即席塩豚と切り干し大根のスープ」の材料と作り方
即席塩豚と切り干し大根のスープ(出所:『しみこむスープ』)
【材料 (2~3人分)】
豚バラ薄切り肉… 120ℊ
切り干し大根… ひとつかみ (約20ℊ)
キャベツ… 60ℊ
昆布… 3㎝四方
しょうが(すりおろし)… 1かけ
塩… 小さじ1強
酒… 大さじ1/2
【作り方】
1:鍋に水400㎖を入れ、昆布の表面をふいて加える。切り干し大根はさっと洗ってボウルに入れ、たっぷりの水を加えてもどす。
2:豚肉に塩を振ってなじませる。4~5㎝幅に切って別のボウルに入れ、酒を加えてもむ。
3:切り干し大根はざるに上げて水けをきり、食べやすく切る。もどし汁は100㎖をとりおく。キャベツは3㎝四方に切る。
4:1の鍋を火にかけて切り干し大根を入れる。煮立ったら弱火にして、3のもどし汁、キャベツ、豚肉を加え、アクをとりながら5分煮る。しょうがを加えてさっと煮る。
(角田 真秀 : 料理研究家)
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