
「自分が担当しているうちに、解決に導きたい」。夫妻殺人放火事件の捜査本部が置かれている児島署に今春着任した山室浩之刑事官が力を込める。
同事件の捜査に携わるのは初めてだが、遺族を訪ねてあいさつした際、「どうかよろしくお願いします」と声を掛けられ、気持ちが高ぶったという。「遺族の思いは25年前と何も変わっていない。何としても無念を晴らしたい」と語る。
■わずか2件
事件は1995年4月28日に発生した。倉敷市児島上の町の農業角南春彦さん=当時(70)=方が全焼し、焼け跡から角南さんと妻翠さん=同(66)=の遺体が見つかった。2人の体は包丁や登山用ピッケルが刺さった状態で、ともに首が切断され、頭部は持ち去られていた。
捜査本部は、残忍な手口から犯人が強い恨みを募らせていたとみて交友関係を中心に調べ、角南さんが所有する土地や金銭を巡り数十件のトラブルを抱えていたとの情報を入手。だが、犯人に迫る有力な手掛かりは得られなかった。
2010年4月27日、時効(15年)が数時間後に迫る中、時効廃止を柱とする改正法が成立し、異例の即日施行で捜査の継続が決まった。県警は捜査本部(16人)の人員を見直し、専従8人を含む19人に拡充。現在もこの態勢を維持し、過去に浮上した不審者や他事件との関連の洗い直しを重点に捜査している。
これまで捜査本部に寄せられた情報は262件。03年以降は1桁台で推移し、20年はわずか2件にとどまる。このため発生25年に合わせ情報提供を呼び掛けるちらしを10年ぶりに刷新。捜査幹部は「少しでも多くの目に留まり、新たな情報につながれば」と願う。
■難しい判断
凶悪犯の逃げ得を許さない―。時効の廃止は、殺人事件の遺族の声や世論が追い風となって実現した。ただ、警察庁によると、もとの時効を過ぎて容疑者が摘発された事件は、三重県で1997年にホテル従業員が刺された強盗殺人事件や、99年に福岡県で男性が川に突き落とされて水死した事件などわずかだという。
岡山県内でも夫妻殺人放火事件のほか、時効廃止後も未解決のままとなっている事件が岡山市中区高島の市営住宅での殺人放火事件、倉敷市広江の民家で起きた強盗致死事件など計4件あるが、いずれも捜査に進展は見られない。
公訴時効に詳しい岡山大法学部の原田和往教授は「改正法の趣旨は時効成立後に犯人が判明した際、立件できない事態を回避するためで、未解決は仕方がない面もある」と解説する。
事件捜査は歳月の経過とともに、証拠が散逸し、関係者の記憶も薄れることなどから困難さが増すとされる。改正法施行の翌年、警察庁も各都道府県警に対し「発生30年を過ぎ、新たな情報が得られる見込みがない場合は捜査の終結を検討する」との通達を出している。
原田教授は「現実的に解決が難しい事件はあるし、その一方で未解決という現実に納得できない遺族もいる。これにどう折り合いを付けるか。今後、捜査当局は難しい判断を迫られることになる」と指摘する。
公訴時効 犯罪行為が終わってから一定期間が経過すると起訴を認めない制度。時間の経過で証拠が散逸して公正な裁判が困難になることなどが根拠とされる。2005年1月施行の改正刑事訴訟法で殺人などが15年から25年に延長。10年4月の改正では人を死なせた罪で最高刑が死刑に当たる強盗殺人や殺人の時効が廃止された。
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April 26, 2020 at 06:01AM
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時効廃止10年、解決糸口見えず 岡山県警、情報提供減り捜査膠着 - 山陽新聞
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